- 著者
-
黒田 明慈
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2006
水に微量の長鎖状高分子あるいは棒状ミセルを形成する界面活性剤を添加すると,乱流域での抵抗が著しく低減することはToms効果として知られている.著者らは微小なダンベル状要素で高分子を模擬したモデルを構築し,本モデルを用いて二次元チャネル内乱流のDNSを行い,Toms効果を再現した.また,この離散要素が縦渦減衰による抵抗低減機構と壁面近傍の付加応力による抵抗増加機構の2つの機構を内在していることを示した.二次元チャネル内乱流を対象として,抵抗低減流れの直接数値計算を行った。混入要素は(1)流体中で一様に発生する(2)流体から受ける引張り力に応じた確率で切断消滅するものとした.(2)の効果によって流体中で要素の濃度分布が生じるが、瞬時の要素濃度は移流拡散方程式を解くことによって求めた。その結果、従来50%程度であった抵抗低減率が最大で約70%となった。またこの場合に流れがほとんど層流化していることが確認された。さらにRe_tau=120-600の範囲で計算を行い,高レイノルズ数では抵抗低減効果が消失するなどのレイノルズ数依存性が見られることを確認した.