著者
黒須 誠治
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.429-434, 1986-02-15
被引用文献数
1

製品在庫は, 需要の変動を吸収し, その影響を少なくする緩衝として, 大量見込生産型工場で用いられている.受注残も, これをもつことによって需要が減少した場合に工場に遊休を起こせしめる可能性を少なくさせることができるという意味で, 緩衝になりうる.個別受注生産型工場では, 製品在庫による緩衝はもてないから, 受注残は重要な役割を果たすと考えられる.本研究では需要の変動に対して, 緩衝としての受注残が, 遊休率の期待値およびn期間連続して遊休が生じない確率への効果を, 期間山積計画法を採用している1工程からなる工場のモデルを通して解析した.また同時に, 緩衝としての受注残がn期後の期末受注残の期待値に与える影響を解析した.ただし第1期については理論的に, 第2期以降については数値計画によって解析を行った.この解析から得られる結果は, 当面の残業計画や今後の生産能力計画の資料として活用できる.