著者
黒﨑佐 仁子
雑誌
聖学院大学論叢 = The Journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.第32巻, no.第2号, pp.93-108, 2020-03-15

本研究では,語の選択の「ゆれ」に焦点を当てる。否定辞「ない」に「過ぎ」が付いた複合語には「―な過ぎ」と「―なさ過ぎ」の二つの形がある。この「―な過ぎ」「―なさ過ぎ」の使用割合を国会会議録と東北地方および関西地方の府・県議会の会議録を用いて調査した。調査の結果,いずれの会議録でも,「な過ぎ」「なさ過ぎ」が使用されていた。ただし,会議録によって,使用割合には差があった。国会会議録では,「―な過ぎ」「―なさ過ぎ」の出現数は,ほぼ同数だった。それに対し,東北地方では「―な過ぎ」が多く,関西地方では「―なさ過ぎ」が多かった。つまり,地域によって「ゆれ」に差があることが明らかになった。