著者
贄田 高弘 今井 稚菜 田島 健太郎 黛 太佑 横澤 美咲 樋口 大輔
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.O-33, 2020

<p>【目的】健常者において、ライデルセイファー音叉を用いた振動覚検査法(RS法)の検者内・検者間信頼性を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】検者は理学療法士5人(経験年数2 〜10年)とし、被検者は健常成人20人(男性16人、女性4人、29.2±6.2歳)とした。RS法で用いるRS音叉の頭部には0 〜8の目盛りがあり(数値が大きいほど振動が弱い)、被検者が振動を感じなくなった時点の目盛りを読み取った。従来法として、音叉を検査部位に当ててから被検者が振動を感じなくなった時点までの時間(感知法)と被検者が合図した時点から振動が停止した時点までの時間(不感知法)を測定した。音叉は右内果にあてた。検者内信頼性は1 人の被検者に対し、特定の検者1人が1週間以上の間隔をあけて2度、3種の振動覚検査を5回ずつ行った。次に、検者間信頼性は1人の被検者に対し、任意の3人の検者がそれぞれ3種の振動覚検査を5回ずつ行った。ICC(1,2)とICC(2,3)を算出した。</p><p>【倫理的配慮】高崎健康福祉大学倫理審査委員会の承認を得た(3064号)。対象者には本研究の説明し、同意を得た。</p><p>【結果】検者内信頼性で20人に行った各10回述べ200回の検査値は、RS法が7.7±0.6(5 〜8)点、感知法が18.0± 3.7(10.6 〜30.5)秒、不感知法が8.1±2.8(1.3 〜14.1)秒であった。ICC(1,2)はRS法が0.77(95%信頼区間 0.43 〜0.91)、感知法が0.65(0.12 〜0.86)、不感知法が 0.81(0.52 〜0.92)であった。ICC(2,3)はRS法が 0.85(0.69 〜0.94)、感知法が0.85(0.70 〜0.94)、不感知法が0.59(0.61 〜0.83)であった。</p><p>【考察】感知法と不感知法はRS法と比較して検者内信頼性または検者間信頼性で劣っていた。これは、検者内でも音叉を叩く強さが一定でなかったことや、検者間で終了時点の判断にばらつきを認めたことによると推察された。</p><p>【まとめ】ライデルセイファー音叉による振動覚検査は検者内、検者間信頼性共に担保できる方法である。</p>