著者
田中 智哉 三木 貴弘 樋口 大輔
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11792, (Released:2020-09-17)
参考文献数
52

【目的】近年,筋骨格系疼痛のマネジメントにおいて,心理社会的要因に対する痛みの神経生理学的教育(以下,PNE)の有効性が示されている。今回,両側膝タナ障害と診断された対象者に対して,PNE を中心とした介入を行い,良好な経過が得られたため報告する。【方法】対象者は誘因なく両膝痛が出現した,ランニングを趣味とする20 代男性であった。生物心理社会モデルに沿った評価を行い,痛みの破局的思考,運動恐怖,身体知覚異常,疼痛に対する誤った信念の影響が示されたため,標準的理学療法に加えてPNE を行った。【結果】痛みの破局的思考,運動恐怖,身体知覚異常は軽減し,誤った信念は修正された。両膝痛は改善し,ランニングは満足いくまで実施可能となった。【結論】標準的理学療法に加えてPNE を行うことは,両側膝タナ障害と診断された膝痛に対して有効である可能性が示された。また,それらは身体知覚異常に対しても有効な可能性がある。
著者
田中 智哉 三木 貴弘 樋口 大輔
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.87-94, 2021 (Released:2021-02-19)
参考文献数
52

【目的】近年,筋骨格系疼痛のマネジメントにおいて,心理社会的要因に対する痛みの神経生理学的教育(以下,PNE)の有効性が示されている。今回,両側膝タナ障害と診断された対象者に対して,PNE を中心とした介入を行い,良好な経過が得られたため報告する。【方法】対象者は誘因なく両膝痛が出現した,ランニングを趣味とする20 代男性であった。生物心理社会モデルに沿った評価を行い,痛みの破局的思考,運動恐怖,身体知覚異常,疼痛に対する誤った信念の影響が示されたため,標準的理学療法に加えてPNE を行った。【結果】痛みの破局的思考,運動恐怖,身体知覚異常は軽減し,誤った信念は修正された。両膝痛は改善し,ランニングは満足いくまで実施可能となった。【結論】標準的理学療法に加えてPNE を行うことは,両側膝タナ障害と診断された膝痛に対して有効である可能性が示された。また,それらは身体知覚異常に対しても有効な可能性がある。
著者
贄田 高弘 今井 稚菜 田島 健太郎 黛 太佑 横澤 美咲 樋口 大輔
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.O-33, 2020

<p>【目的】健常者において、ライデルセイファー音叉を用いた振動覚検査法(RS法)の検者内・検者間信頼性を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】検者は理学療法士5人(経験年数2 〜10年)とし、被検者は健常成人20人(男性16人、女性4人、29.2±6.2歳)とした。RS法で用いるRS音叉の頭部には0 〜8の目盛りがあり(数値が大きいほど振動が弱い)、被検者が振動を感じなくなった時点の目盛りを読み取った。従来法として、音叉を検査部位に当ててから被検者が振動を感じなくなった時点までの時間(感知法)と被検者が合図した時点から振動が停止した時点までの時間(不感知法)を測定した。音叉は右内果にあてた。検者内信頼性は1 人の被検者に対し、特定の検者1人が1週間以上の間隔をあけて2度、3種の振動覚検査を5回ずつ行った。次に、検者間信頼性は1人の被検者に対し、任意の3人の検者がそれぞれ3種の振動覚検査を5回ずつ行った。ICC(1,2)とICC(2,3)を算出した。</p><p>【倫理的配慮】高崎健康福祉大学倫理審査委員会の承認を得た(3064号)。対象者には本研究の説明し、同意を得た。</p><p>【結果】検者内信頼性で20人に行った各10回述べ200回の検査値は、RS法が7.7±0.6(5 〜8)点、感知法が18.0± 3.7(10.6 〜30.5)秒、不感知法が8.1±2.8(1.3 〜14.1)秒であった。ICC(1,2)はRS法が0.77(95%信頼区間 0.43 〜0.91)、感知法が0.65(0.12 〜0.86)、不感知法が 0.81(0.52 〜0.92)であった。ICC(2,3)はRS法が 0.85(0.69 〜0.94)、感知法が0.85(0.70 〜0.94)、不感知法が0.59(0.61 〜0.83)であった。</p><p>【考察】感知法と不感知法はRS法と比較して検者内信頼性または検者間信頼性で劣っていた。これは、検者内でも音叉を叩く強さが一定でなかったことや、検者間で終了時点の判断にばらつきを認めたことによると推察された。</p><p>【まとめ】ライデルセイファー音叉による振動覚検査は検者内、検者間信頼性共に担保できる方法である。</p>
著者
樋口 大輔 新谷 和文 内山 靖
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.533-539, 2007 (Released:2008-01-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1

頚髄症に対する理学療法評価項目とその判定基準を提示することを目的とした。頚髄症者55人を対象に,代表的な評価指標の中から下位項目ごとの度数分布を示し,下位項目間の関連性を検証した。その結果,手指巧緻運動障害および歩行障害は,自立度のみではなく,動作の円滑性や困難度を含めた機能・能力を評価することが適切であった。また,感覚障害は体幹の感覚障害の有無や日常生活活動への影響を考慮することが必要であることが示された。膀胱直腸障害は,排尿の開始遅延や頻尿の有無をまず聴取すべきである。今後は,これらの評価項目に基づき,頚髄症に対する効果的な理学療法を実践していくための障害構造および介入課題の検証を進める必要がある。
著者
樋口 大輔
出版者
パーソナルファイナンス学会
雑誌
消費者金融サービス研究学会年報 (ISSN:13493965)
巻号頁・発行日
no.1, pp.21-32, 2001-11-30
被引用文献数
1

本研究は、消費者金融会社の収益および費用の構造が業者の規模によってどのように異なるのかを捉え、それをもとに貸付上限金利の引き下げの影響を分析する。消費者金融会社の収益と費用は、業者の規模によって大きく異なることが明らかになった。中小規模の業者は大手と比較して高コストであり、それを支えるために貸付金利を相対的に高く設定するという構造になっている。それゆえ、上限金利の引き下げにより中小業者の大半が深刻な業績悪化に陥ることが予測される。出資法に定められる貸付上限金利が2000年6月1日に40.004%から29.2%へと引き下げられたことによって、消費者金融業に対する次のような影響が考えられている。すなわち、(1)消費者金融会社の経営状態の悪化、(2)リスクの高い顧客層への融資不能、(3)違法業者の横行である。『貸金業者の経営実態等の調査』((社)全国貸金業協会連合会実施)によって集められた財務データに基づいて消費者金融業者の収益・費用の構造をみると、以下のようにまとめられる。消費者金融会社の収益構造は、貸付平均金利に比例して中小規模の業者が相対的に高い営業収益を獲得している。逆に、費用構造においては、小規模な業者ほど総貸付残高に対する費用の割合が高くなっている。したがって収益と費用の関係でみると、中小規模業者は収益力が高いとはいえない現状である。貸付上限金利引き下げの影響を分析するために、同データを用いてROEを算出し、その変化のシミュレーションを行った。ROEは平均して大手が20%前後、中堅以下の業者では3%〜10%程度であると推計される。平均金利が29.2%に引き下げられたと仮定して算出した場合、およそ半数の業者でROEがマイナスとなった。大手は平均的な貸付金利が29.2%をすでに下まわっているためほとんど影響がみられないが、中小業者は金利を大幅に低下させなければならないため、顕著な影響を受ける。このようなシミュレーションの結果により、上限金利引き下げの悪影響として考えられていることの一部が確認された。
著者
紅林 秀治 樋口 大輔 菱田 亘 大村 基将 兼宗 進
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2010-CE-105, no.6, pp.1-8, 2010-07-03

中学校技術・家庭科 (技術分野) における計測・制御学習用教材として 2 足歩行ロボット用いた学習指導を提案する.2 足歩行ロボットは教材用として独自に開発したものを用いる.開発した 2 足歩行ロボットは,16 個のサーボモータを使用した.また,中学生でも製作できるように,工作用アルミ金属や自在金具を利用してロボットのフレームが製作できるようにした.さらに,2 足歩行ロボットを制御する基板も開発した.開発した制御基板を用いることで,16 個のサーボモータの制御と 3 軸加速度センサーによる計測を可能にした.開発した 2 足歩行ロボットおよびそれを用いた学習計画と期待する教育効果について述べる.
著者
梅澤 正樹 今泉 薫 樋口 大輔 丸山 淳 本村 一朗 吉野 智子 胡田 由美子 船登 雅彦 川和 忠治
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.195-203, 1996-09-30
被引用文献数
12 7

本研究は, 平成5年度に昭和大学歯科病院第一補綴科で装着されたクラウンおよびブリッジに関して, その総製作数, 種類および割合, 支台歯の有髄, 無髄等を統計的に調査し, 歯冠補綴治療の現状を把握することを目的として行われ, 以下の結果が得られた.1.クラウンとブリッジの総数は1,202個で, クラウンが1,022個 (85.1%), ブリッジが180個 (14.9%) であった.2.クラウンにおいて最も多いのは全部鋳造冠572個 (56.0%) であった.次いで陶材焼付鋳造冠183個 (17.9%) とレジン前装鋳造冠183個 (17.9%) で, 陶材焼付鋳造冠は平成4年度の288個と比較して大幅に滅少した.また平成3年度に一例も装着されなかったレジン前装鋳造冠が平成4年度では110個 (10.2%), 平成5年度では183個 (17.9%) と大幅な増加を示した.3.クラウンは前歯部ではレジン前装鋳造冠が約50%, 小臼歯部では全部鋳造冠が約70%を占め, 大臼歯部では約90%が全部鋳造冠であった.4.ブリッジは臼歯部に約60%, 前歯部および前歯部から臼歯部にわたるものが, それぞれ約20%ずつ装着されていた.5.ブリッジは前歯部, 臼歯部において1歯欠損2本支台歯が最も多かった.前歯部から臼歯部にわたるものにおいては, 2歯欠損3本支台歯が多かった.6.クラウンにおける保険診療は74.3%であり, ブリッジにおいては76.7%であった.7.クラウンの支台歯における無髄歯は88.8%, インプラント支台0.9%であり, ブリッジにおいては無髄歯が75.4%であった.