著者
上野 広行 横田 久司 石井 康一郎 秋山 薫 内田 悠太 齊藤 伸治 名古屋 俊士
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.241-251, 2012-11-10 (Released:2013-03-12)
参考文献数
48
被引用文献数
2

加熱脱着GC/MS 装置を用いて、PM2.5 中のジカルボン酸、フタル酸、レボグルコサンを誘導体化して分析する迅速かつ簡便な手法を検討した。誘導体化条件を検討した結果、最適な条件として、温度320 ℃、ヘリウム流量20 mL/min、反応時間10 min、BSTFA+TMCS(99:1)とピリジンの混合比9:1、誘導体化試薬添加量10μLが得られた。添加回収試験の結果、過大な試料を用いると誘導体化成分のピーク形状が悪くなるため、試料量を制限する必要があった。非極性成分であるn-アルカン、17α(H), 21β(H)-ホパン、PAHs については、感度の点から試料量を多くする必要があり、極性成分との同時分析は困難であったものの、同じシステムで分析可能であった。この手法を東京都内の環境試料に適用して分析した結果、夏季と冬季では有機成分組成が大きく異なること、n-アルカンの濃度パターンは複数の発生源の影響を受けていることなどが示唆され、本手法は有機成分の発生源寄与等の検討に有効と考えられた。