- 著者
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根塚 秀昭
芳炭 哲也
齊藤 光和
藤井 久丈
- 出版者
- The Japan Society of Coloproctology
- 雑誌
- 日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.8, pp.467-470, 2007-08-10
- 被引用文献数
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症例は90歳女性. 3日前から持続する腹痛と発熱を主訴に当院へ搬送された. 腹部CTにて回盲部から右腸腰筋部におよぶ径5cm大のlow density massを認め, 周囲に少量の腹水を認めたため, 急性虫垂炎および右腸腰筋膿瘍の疑いにて緊急手術を施行した. 回盲部は一塊となり臓器の判別は困難で, 近接する右腸腰筋部を剥離すると内部から透明粘調なゼリー状物質が流出した. 虫垂癌の右腸腰筋浸潤, 穿孔性腹膜炎と術中診断し, 回盲部切除術と腹腔内ドレナージを施行した. 術後の病理組織学的検査では, 細胞内に粘液を豊富に貯留した腫瘍細胞の増殖が認められ, mucinous cystadenocarcinomaと診断された.<br>虫垂癌は術前診断が困難である. 画像所見にて右腸腰筋膿瘍などの後腹膜膿瘍が疑われる場合には, 原発性虫垂癌も念頭におく精査加療の必要があると考えられた.