著者
齊藤 真也
出版者
静岡県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々は皮膚血管では電位依存性Caに対する依存度が他の血管よりも低いため、温度低下に対する耐性が高く、収縮が維持されることを見出した。一方神経損傷モデルラットでは交感神経の損傷に伴い、細胞内Ca排出が減った結果血管の収縮応答性が亢進し、少ない刺激で大きく収縮することが明らかとなった。これらのことを合わせて考えると、神経損傷モデル動物の皮膚血管では弱い収縮刺激を受けて、すでに血管が収縮している状態にあることが示唆された。そこで、血管を拡張させる薬を投与したところ、血流が回復するとともに、痛みに対する感受性が下がった。以上のことから血管を拡張させることが神経因性疼痛治療になりうることを見出した。