- 著者
-
齊藤 鉄也
- 雑誌
- じんもんこん2019論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.2019, pp.157-164, 2019-12-07
本論文では,写本に出現する全仮名字母の分布を比較し,大島本源氏物語の書写者の検討を試みる.調査対象とした写本は大島本源氏物語と,飛鳥井雅康筆とされる『辟案抄』,『伊勢物語』,書陵部蔵三条西家本『源氏物語』「早蕨」,高松宮家本『源氏物語』「朝顔」である.写本ごとの仮名字母の分布を,統計学手法を用いて比較した結果からは,飛鳥井雅康筆とされる写本間の距離は互いに近いこと,大島本53巻の中には,飛鳥井雅康筆写本と同程度に距離が近い写本は存在しないこと,を明らかにした.加えて,「宮河印」のある大島本源氏物語写本の一部は互いに距離が近いことを明らかにした.