著者
寺田雅之 竹内大二朗 齊藤克哉 本郷節之
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.224-233, 2014-07-02

集計データのプライバシーを差分プライバシー基準に基づいて保護する上で,データの統計的正確性と計算効率に着目した手法を提案する.差分プライバシー基準は,安全性に対する数学的な裏付けが保障されているものの,(1)非負データが負の値となってしまう場合が生ずる,(2)広範囲のデータの集計値において真値からの偏差が大きくなる,(3)疎なデータ分布を密なデータ分布へと変化させることにより計算量の著しい増大を招く,などの実用上の課題を持つ.本報告では,これら三点の課題を解決する手段として、Wavelet 変換とTop-down 精緻化処理と呼ぶ方法を組み合わせた,差分プライバシー基準を満たす新たなプライバシー保護方式を提案し,国勢調査データを用いた提案手法の評価結果を示す.