著者
市村哲 矢澤崇史 戸丸慎也 渡邉宏優
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1285-1290, 2014-07-02

ゲーミフィケーションは,ゲームの要素や考え方をゲーム以外の分野で応用していこうという取り組みであり,ゲームの持つ人を楽しませ熱中させる要素や仕組みを用いて,ユーザのモチベーションを向上し,日常の行動を活性化させようとするものである.さらにSNSの機能を用いることにより,他者と自分とを比較して競争心を煽る,または一人でやっているわけではなくみんなとやっているという共同作業の楽しみによるモチベーションの増加も狙えると言われている.本稿では,ゲーミフィケーションを用いて家事をゲーミフィケーション化する試みについて報告する.今回,家事のなかでも面倒と思われている掃除を対象とした.掃除機に対して加速度を検出できるデバイスを取り付け,そのデバイスを介してゲームの要素を付与することで,少しでも楽しく掃除が出来るようにすることを試みた.評価実験より,ゲーム的要素を加えたことにより掃除がより楽しくなったという結果が示される結果を得られた.
著者
砂原秀樹 山内正人 金杉洋 柴崎亮介
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1024-1026, 2014-07-02

位置情報を含むさまざまな情報を収集し活用することで有益な情報を生み出すことは可能であるが、そこに含まれるパーソナル情報をどのように扱うべきかについてはさまざまな議論がある。「情報銀行」の取組は、パーソナル情報を取り扱うHUBとなる組織を介し、安全にそして安心してパーソナル情報を預けられるようにし、それらを活用する試みである。本論文では、「情報銀行」の構想について紹介すると共に、それが目指す仕組み、特に技術的課題について述べる。また、「情報銀行」を実現するため我々はインフォメーションバンクコンソーシアムを設置した。ここでは、技術、社会受容性、利活用について検討を行い、「情報銀行」を実現するための研究・開発・実証実験を行う予定である。実現のためには、技術的課題だけを解決すればよいのではなく、そのメリットを正しく認識し、こうした仕組みが社会に受け入れられるために必要な事柄を整理する必然性がある。この組織は、こうした課題に取り組み、その成果を公開していくことを目標としている。ここでは、インフォメーションバンクコンソーシアムの活動についても概説する。
著者
丁吉之 寺田努 塚本昌彦
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.2-9, 2014-07-02

ウェアラブルコンピューティングシステムは様々な状況下での利用が考えられ,システムを取り巻く環境は頻繁に変化する.そのため,システムを利用しているユーザの行動,および周囲の環境と使用する情報提示デバイスの組合せによっては,ユーザの情報支援の認知に影響を及ぼす可能性がある.例えば,屋外でディスプレイを使用しているときに周囲が明るくなると表示が見づらくなるというように,ユーザの作業の妨げになったり,場合によってはユーザを危険に晒す恐れがある.そこで筆者らの研究グループでは,システム障害時にユーザが装着しているデバイス同士が直接データ通信を行うことで情報支援を継続し,システムの信頼性を確保する手法を提案してきた.本研究では,ウェアラブルコンピューティング環境の例として着ぐるみ装着者支援システムに提案手法を導入し,HMD,スピーカ,振動モータの3種類の情報提示デバイスを実装した.また,ユーザの行動,周囲環境と提示デバイスの組合せと情報提示の認知度との関係を調査した.
著者
増田裕太 山地隆行
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1700-1703, 2014-07-02

睡眠時の状態を計測するときに用いる機器として,電極を用いて被験者に装着するものや,布団に敷いて圧力変化から体の動きを測るもの,枕元に置き寝具の揺れから間接的に体動を測るなど様々なセンシング方式がある.我々は,被験者の利便性を考慮して,ドップラ式のマイクロ波センサを用い,離れた位置から被験者の睡眠状態を計測することを可能とする研究を行っている.開発技術では,マイクロ波を被験者に照射し,被験者の動きから得られるセンサ信号を解析し,体動,心拍,呼吸の各成分を抽出する.検出した体動より,就寝中の覚醒または睡眠を判定し,心拍,呼吸成分からそれぞれ心拍数,呼吸数を算出する.また,センサで検出する呼吸成分の信号強度の変化より,寝ているときの体の向き(仰向け,うつ伏せ,横向き)を判定する.
著者
寺田努 岡崎辰彦 塚本昌彦
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1386-1393, 2014-07-02

現在,着ぐるみはテーマパークや様々なイベントで頻繁に利用されている.着ぐるみは仮想キャラクタを現実世界に登場させる役割をもつため,着ぐるみ装着者は扮したキャラクタらしく振る舞うことが重要となる.しかし,着ぐるみは体の大きさが人間と異なっていることが多いため,着ぐるみ装着者が周囲にある障害物を避ける際に装着者自身と着ぐるみの大きさの違いを意識しなければならず,直観的に障害物を避けることが困難である.そこで本研究では,着ぐるみ装着者のための拡張現実感を用いたオブジェクト拡大提示に基づく障害物回避手法を提案する.この手法を用いることで,装着者は装着者自身と着ぐるみの大きさの違いを意識せずに周囲にある障害物を自然に回避できる.評価実験の結果から着ぐるみ装着者が障害物を避ける際に提案システムは有効であると確認できた.
著者
寺田剛陽 津田宏 片山佳則 鳥居悟
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1498-1505, 2014-07-02

やり取り型の標的型メールや,水飲み場攻撃など,サイバー攻撃はユーザの心理・行動上の隙を突いた巧妙なものになってきている.こうした新たな攻撃に対抗するには,システム上の対策に加えてユーザ自身にも攻撃を見抜く力が必要となってきている.そこで我々は,組織の作業ログから近い将来にウイルス感染などのIT被害に遭う可能性の高いユーザや部門を発見し,対策を配付するシステムの開発をめざしている.ここで,被害を削減するためにはユーザや部門の特性に合わせた対策の提供が必要だと我々は考えている.この実現に向けて今回の研究では約1,000名のIT被害経験者に対してアンケート調査を行った.分析の結果,リスク敬遠志向が高いユーザはIT被害の種類を問わず被害が少ない傾向であることや,現状維持傾向が強いユーザは不正利用被害やプライバシー漏洩被害が多い傾向であることなど,IT被害経験者の心理・行動上の特徴は,被害の種類を問わずにみられるものと特定の被害にのみみられるものがあることがわかった.本結果は,組織における個人や部門のリスクの見える化や,きめ細かいサイバー攻撃対策に適用できると考えられる.
著者
鈴木彰真 野々村翔 村田嘉利
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.100-107, 2014-07-02

近年,様々な食感のグミが販売されており,それに応じて消費者の嗜好も多様化している.メーカーが提示するグミの食感は客観的な表現がされておらず,顧客の求める食感とメーカーが提示する食感が合致していない.そこで本論文では,微妙な差異の表現が必要であるグミの食感を対象に,擬音語,擬態語を表すオノマトペを用いたグミの推薦システムを構築し,その有用性について評価を行った.客観的にオノマトペ表現を用いたグミの推薦システムを構築するためには,使用するオノマトペの数と内容の吟味とグミとの関連付け方法が重要となる.本論文では,複数のアンケートから食に関するオノマトペとグミを関連付け,アンケートの結果から関連度の高い順に複数のグミを推薦した.提案サービスの評価として,選択したオノマトペによって適切にグミが推薦されるかどうか検討した.評価では,被験者にグミの種類を1つ思い浮かべてもらい,選んだオノマトペから推薦されたグミのサンプル上位4品目を試食してもらった.その後,オノマトペとグミの合致度を5段階評価してもらった.評価の結果,9割以上が合致度4以上と回答し,所望する食感のグミを推薦できていることが示された.
著者
木山昇 高橋利光 祖父江恒夫 相川哲盛
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.16-23, 2014-07-02

近年,自動車のCAN情報を利用せず,スマートフォンに搭載されるセンサのみを活用するテレマティクスサービスの普及が進んでいる.しかし,例えば安全運転診断などの加速度情報を活用するサービスでは,スマートフォンの加速度センサの軸を車両の向きと一致させる必要がある.そのため,他のアプリケーションを並行して利用する場合には,画面の視認性が低いという問題点があった.そこで本稿では,任意の角度に傾斜して固定されたスマートフォンを利用して,自動車の3軸加速度を算出する手法を提案する.提案手法では,まず加速度及び方位角の変化量から,自動車の静止状態及び直進状態を検出する.そして,両状態を検出した時の加速度データを用いて,スマートフォン基準の座標軸を自動車基準の座標軸に変換する回転行列を算出する.これにより,両状態検出以降は,スマートフォンの加速度センサ値から自動車の3軸加速度を算出することができる.評価実験の結果,提案手法による自動車の進行方向加速度の算出値は,従来手法と比較して96%の確率で±0.05G以下の誤差分布であり,急加減速(±0.5G)を検出する運転特性診断機能などに活用可能な精度で加速度を算出できることが確認できた.
著者
石川博規 山本大介 高橋直久
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.789-795, 2014-07-02

本稿では,ユーザ生成型コンテンツ共有の概念を音声対話コンテンツに導入する手法を提案する.提案手法により,音声対話システムの利用が活発化すると考えられる.しかし,一般に音声対話コンテンツを共有するシステムがない.そこで,スマートフォンに搭載した音声インタラクションシステム構築ツールキットMMDAgentにおける音声対話コンテンツを機能ごとに分割しパッケージ化する手法と,それらの音声対話コンテンツ配信の仕組みを提案する.建物案内や天気予報などの機能単位で,パッケージ化された音声対話コンテンツを複数同時並列に実行することによって,音声対話の容易かつ自由度の高い拡張を可能にする.また,それらパッケージ化された音声対話コンテンツを配信する仕組みを提案し,その実現法について述べる.
著者
作田耀子 塚原康仁 村瀬結衣 仲倉利浩 杉浦一徳
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.373-379, 2014-07-02

インターネットを活用してイベントを支援し,参加者により充実したものを提供する取り組みは試行として様々な形で行われている.近年のコスプレイベントでは,参加者の中での既存のコミュニティと統合的な情報不足により,交流に関して閉鎖的な空間となりつつある.初対面の相手同士で,当日に確認できる情報は実際の外見の情報のみであり,交流を支援するような情報共有環境は構築されていない.本研究では,コスプレイベント活動支援環境COSUEの実現と評価を行った.イベント開催前にCOSUEに参加者情報を登録し,イベント開催前と開催中に個々の携帯電話から情報共有を実現する相互支援環境を構築した.初期実験では,参加者の当日のコスプレ作品,キャラクター,コンテンツの嗜好,楽しみ方のタイプの情報を提供する.その上でタイプが合う者同士をマッチングし,その情報の共有を行う.実際のコスプレイベントを想定した実験場面において,参加者に本システムを使用させ,その結果から評価を行った.初期実験では参加者のタイプを明確にし,その情報を活用する事で情報共有環境を実現した.交流履歴と参加者のタイプの相関は見られなかった.またイベントの特徴上,イベント中に携帯を確認しにくいため,サイネージなどを活用した情報共有基盤の必要背景を確認した.今後タイプの定義と情報の提供方法について検討する必要がある.
著者
堤智昭 大島浩太 中條拓伯
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1581-1587, 2014-07-02

ネットワークの高速化やサーバ仮想化技術の発達により、クラウドコンピューティングに代表される複数のノードが協調して動作を行う分散処理型サービスやネットワーク仮想化が普及している.一方,マイクロ秒やナノ秒レベルの精度でノード間の時刻を同期可能なIEEE1588 PTPv2が登場した.本研究では,高精度に時刻同期されたノードを用いた分散処理制御方式を提案する.これをタイムアウェア型分散処理制御と名付ける.本方式では,予め時刻に応じていつどのような処理を実行するかを記述した動作シナリオと時刻に従ってシステム内のノードをデータが渡り歩き処理が進行する.処理状況確認パケットを送らずとも他ノードの状況を確認でき,効率的な計算資源の割り当てが可能である.方式の実現にあたり,通信遅延やノードの性能や特性に起因する遅延の影響を把握,吸収することが課題となる.そこで,動的に動作シナリオを補正するための処理時刻補正のモデル化を行った.提案方式の有効性を確認するための原理実験用ソフトウェアを開発してプロトタイプシステムを構築し,処理時刻補正のモデルに基づいた処理タイミング補正が正確な時刻に沿った処理において有効であることを確認した.
著者
平井章康 吉田幸二 宮地功
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.633-638, 2014-07-02

近年,登場してきた簡易脳波計は携帯可能な大きさであり,装着が簡単で,装着者の行動を制限しない.このため,日常的な使用が可能で,比較的安価で入手し易い利点がある.そこでこの簡易脳波計を用いて脳波情報を取り入れた遠隔教育における指導支援にフィードバックできるシステムの構築を検討している.本論文では昨年の実験で記憶作業に関する反応がlow_γと,ワーキングメモリと呼ばれる短期記憶領域で反応を示しているθ波の2つの波長の関係性を調べ,その特性を利用したサポートシステムを構築,実際に脳波計測において学生の記憶作業中の脳波データの相関関係を実験により比較分析した.その結果,(θ+α)/10とLow_γが同期した波長である事が判明した.またこの2つの波長の特性を利用したプロトタイプシステムを構築し,実験により,(θ+α)/(10×low_γ)がサポートシステムの有無で記憶力の変化が見られた事から記憶の度合いを測る指標として有効であると結果が出た.