著者
齋 治男
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

研究実施に際しては、まず安全作業を行うための非接触駆動機構の試作・確認を行った。ミーリングによる穴あけおよび切削において、手動送りによる加工を行い脱調による危険回避が出来るか確認を行った。結果として、過負荷や送り速度超過でネオジウム磁石の駆動トルクを超えた時に脱調(空回り)し、過度な切り込みや工具破損を防げることが判った。脱調のタイミングは駆動側と従動側の駆動磁石の間隔を調整することで変動できる。しかし、常に同じトルクや送り速度で脱調が起きるようにすることは難しかった。そこで、非接触駆動機構と数値制御駆動を併用することで、確実な危険回避と加工精度の向上を目指した。駆動用モータ軸と回転工具ツール軸に磁石を取り付け非接触駆動機構とし、数値制御加工機(マシニングセンタ)の主軸に取り付け加工を行った。手動加工と同様に、危険回避には有効であるが、磁石駆動トルク内でも脱調が起きる場合があり、特に切削加工では送りを速くすると目的位置到達前に脱調が起き切削効率が悪化した。次に、旋盤工具台に非接触駆動機構を取り付け、リュータ型の回転装置による工具回転で切削(ドリリング)研削・放電加工を試みた。旋削加工での表面改質および仕上げ加工を同一機械上で実現出来・特に砥石割れ事故の回避に有効と考える。今後は、加工効率・加工精度をいかに向上させるかが課題である。