著者
植田 吉宣 進藤 廣成 安達 登 山根 貴夫 齋藤 元伸 亀岡 信悟
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.2724-2728, 2015 (Released:2016-05-31)
参考文献数
23

症例は13歳,女児.急性の心窩部痛・吐血から意識障害をきたし,ショックの状態で当院へ救急搬送された.腹部CTでは大量の腹水およびfree airを認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し救命処置を行ったが救命できなかった.剖検したところ,胃底部前壁に約1.5×1.3cmおよび1.3×1.0cmと2箇所の破裂部位を認めた.破裂原因は不明であり,特発性胃破裂による汎発性腹膜炎およびショックによる死亡と診断した.本症例は胃底部の特発性胃破裂と考えられる病態による急激な転帰で死亡に至った例であり,非常に稀な症例と思われるため若干の文献的考察を踏まえ報告する.