著者
後藤 寛幸 足立 恵一 坪井 歩 甘井 努 大嶋 義之 齋藤 好道
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.25, pp.40, 2009

【はじめに】多発交通外傷後,まず車椅子ADL自立の後,装具処方と積極的な起立・歩行訓練により歩行自立となった症例を報告する.【症例】55歳男性【診断名】骨盤骨折(右寛骨臼骨折など),両下腿開放骨折(右脛腓骨二重骨折,左脛骨骨幹部骨折,左足関節内果骨折),左リスフラン関節脱臼骨折,神経因性膀胱,両坐骨神経損傷に伴う両膝関節から遠位の麻痺.【合併症】糖尿病【病歴】H19.7.20軽トラック運転中乗用車と正面衝突し受傷.心タンポナーデに対し心嚢ドレナージ.骨盤骨折に対し両内腸骨動脈塞栓術,両血気胸に対してトロッカー挿入し救命.8.3(左)脛骨髄内釘,足関節内果CCS,(右)脛骨近位CCS,遠位K-W骨接合.股関節臼蓋螺子にて骨接合.右脛骨偽関節形成の為,10.12プレート固定,骨移植施行後創感染.10.31右下腿前面皮膚11.19腓腹筋弁,分層植皮施行.H20.1.29当院初回入院.右下腿偽関節のため右下肢免荷.先ず上肢・体幹筋力強化を実施.4.22車椅子ADL自立で退院.10.28右部分荷重可能となり歩行訓練目的に再入院.【入院時評価】両下腿感覚重度鈍麻.MMT(右/左)大殿筋(1/1)大腿四頭筋(2/3)両前脛骨筋,下腿三頭筋収縮なし.両上肢4.右下腿前面骨癒合部の骨突出あり,皮膚面湿潤.脚長差3cm(左>右)【経過】起立,push up訓練実施.装具は右PTB免荷装具(モールドタイプ),左プラスチック短下肢装具を作成.PTB 免荷装具にインナーシェルを工夫し右腓骨骨折線への衝撃緩和,創傷保護実施.右全荷重開始後,両金属支柱付短下肢装具作成.MMT大殿筋(2/2)大腿四頭筋(4/4)両上肢5と筋力向上し歩行器装具歩行自立に至った.【考察】骨癒合の時期をみてPTB装具を処方し起立・歩行訓練を行うことで,両下肢近位筋と体幹筋力向上が図り,実用歩行の可能性が出た後に両短下肢装具を再作成し歩行自立に至った.