著者
齋藤 智興 木村 富士男
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.541-549, 1998-07-31
参考文献数
15
被引用文献数
22

関東中部域における夏期の対流性降水の日変化を, 東京レーダーの7.5分間隔データとアメダスデータを用いて調べた.解析は, 1994年と95年の7, 8月の中から総観規模擾乱による降水がなかった88日間を対象とした.この両年は暑夏年で, 対流性による降水が頻発した.解析方法は, 時別降水頻度分布をレーダーデータで作成し, 時刻および地域による頻度降水分布の相違を追跡した.また風分布との関連も考察した.その結果, 山岳域では午後に降水頻度が高まる時間が平地よりも早く, 特に日光周辺・奥秩父周辺の2地域で顕著であること, また19時頃に関東平野北西部の山麓で急激に降水頻度が高まることを見い出した.また, 沿岸・海上では午前中に降水のピークを持ち, 陸上では午後に持つことは以前から知られていたが, これをレーダーデータを用いて明らかにすることができた.さらに, 関東平野内でも降水頻度大が現われやすい所があることがわかった.