著者
齋藤 雅裕 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.480, pp.1-6, 2009-03-04
被引用文献数
1

本論文では,自然言語の文書から知識を学習し,それに基づき類推を行うニューラルネットワークを提案する.ニューラルネットワークは生理学的な知見を活かした処理が可能であり,優れた学習能力が注目されている.また,類推は人間の知能において重要な役割を果たすと言われている.そこで提案ネットワークでは,学習能力を持ち,類推を行うことのできるニューラルネットワークを提案する.ネットワークに入力される文書はまず,構文解析器による前処理が行われる.これに基づき,提案ネットワークの結合の学習が行われる.また,従来のニューラルネットワークでは学習に用いた情報しか活用することができなく,知識獲得に問題があった.提案ネットワークでは,大規模な辞書であるNグラム辞書を用いることで,この点の解決を図っている.類推では,ニューロンの発火パターンが記憶部に記憶される.そして,類似する発火パターンが出現した際に記憶部が検索される.過去の発火パターンから推論が行われることで,類推が可能となった.実験では,goo辞書やWikipediaから知識を学習し,類推を検証した.実験により提案ネットワークが類推を行えることを確認した.