著者
梅干野 晁 乾 正雄 龍谷 光三
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.309, pp.115-126, 1981-11-30
被引用文献数
9

都市における熱環境解析の第一段階として, 前報で物理的裏付けをはかった航空機リモートセンシングデータを用い, 夏季・晴日における住宅地の熱環境の実態を示した。さらに, 各種タイプの住宅地を中心にして, それらの熱環境を比較検討するとともに, 熱環境と土地被覆率との相関・回帰分析を行い, 両者の関連性を考察した。すなわち, 住宅地の熱環境要素である可視域と近赤外域の分光反射率, 昼と夜の表面温度などは, 住宅地のタイプと使用されている材料によって異なる, 材料も考慮した土地被覆の実態を知ることによって, それぞれの熱環境要素が回帰できる, ことなどを明らかにした。今後の問題としては, 熱環境の日変化, 季節変化の解析, さらに住宅地から一般の都市環境への拡張などがあげられよう。また本報ではMSSデータの解析の中で, 建物立面の補正など手作業によったが, 計算機による補正方法も検討する必要があると考える。おわりにあたり, 本研究は「財団法人 日本造船振興財団日本海洋総合学術診断プロジェクト」に参加して得られた成果の一環であることを記すとともに, 東京大学教授豊田弘道先生, ならびに愛甲敬氏をはじめとする財団の方々に感謝の意を表します。