著者
根井 吾郎 﨑村 俊之 依田 周 森 圭介 水光 正裕 矢部 嘉浩
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.295-297, 2016

【はじめに】踵骨裂離骨折は稀な骨折である.また,転位した骨片により皮膚壊死を起こすことが報告されている.今回我々は踵骨嘴状骨折の1例を経験したので報告する.【症例】36歳・男性.バック転をした際に左踵部痛が出現し当院へ救急搬送され,単純X線像で左踵骨嘴状骨折を認めた.転位骨片により皮膚は蒼白であり,皮膚壊死を回避するために緊急手術を行った.中空海綿骨裸子3本でのラグスクリュー固定と高強度糸による締結を行った.術後3週尖足位でシーネ固定と免荷を行い,以後はアキレス腱装具装着下に荷重を開始した.皮膚壊死や創感染などの合併症なく経過し,骨癒合が得られた.【考察】踵骨嘴状骨折は稀な骨折で,皮膚壊死を起こす危険性が高く緊急手術を行う必要がある.本症例は緊急手術を行い軟部組織合併症が回避できた.