著者
後藤 久貴 髙橋 良輔 馬場 一彦 青木 龍克 村山 雅俊 末次 宏晃 西 紘太朗 竹内 潤 内山 迪子 水光 正裕 小林 恭介 鳥越 雄史
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.247-250, 2018-03-25 (Released:2018-05-21)
参考文献数
10

CPP法は,外閉鎖筋と方形回内筋の一部を切離し,梨状筋,上双子筋,内閉鎖筋,下双子筋を温存する股関節後方進入法である.【対象,方法】大腿骨頚部骨折に対しCPP法で人工骨頭挿入術を行った30例(男性7例,女性23例,平均85.1歳)を対象とした.ステムはExeter 12例,Taper wedge型17例,Zweymuller型1例であった.手術時間,術中出血量,腱損傷の程度,ステムアライメント,術中合併症,術後脱臼を調査した.腱損傷を,損傷なし,下双子筋損傷,腱実質損傷,腱完全断裂のGrade 1~4に分類した.【結果】手術時間60.8分,出血量161 g,腱損傷はgrade 1 8例,grade 2 15例,grade 3 7例,grade 4 0例であり,4°以上の内外反は3例であった.術後脱臼は認めてない.【まとめ】CPP法は人工骨頭の術後脱臼予防に有効な後方進入法である.
著者
青木 龍克 後藤 久貴 末次 宏晃 水光 正裕 内山 迪子 小林 恭介 田中 奈津美 鳥越 雄史
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.37-39, 2019-03-25 (Released:2019-05-16)
参考文献数
7

人工関節置換術(THA)後に腸腰筋インピンジメントを生じ,前方より直視下腸腰筋切離を行った2例を報告する.【症例1】61歳女性.58歳時に右THAを施行し,術後1年で下肢伸展挙上(SLR)時の鼠径部痛が出現した.カップの前方突出を認め,腸腰筋エコーガイド下ブロックが著効し,腸腰筋インピンジメントと診断した.腸腰筋切離を行い,術後1週で疼痛は改善し,SLRが可能となった.【症例2】66歳女性.64歳時に右THAを施行し,術後1年でSLR時に大腿前面の痛みが出現した.明らかなカップの設置不良はなかったが,腸腰筋ブロックで疼痛改善を認め,術後2年3か月で腸腰筋インピンジメントと診断した.腸腰筋切離を行い,術後3週で疼痛は改善し,SLRが可能となった.【考察】腸腰筋インピンジメントに対してはカップの再置換術も選択肢となるが,カップの設置に大きな問題がない場合や,カップ再置換のリスクが高い場合には,腸腰筋切離の良い適応と考えられる.
著者
根井 吾郎 﨑村 俊之 依田 周 森 圭介 水光 正裕 矢部 嘉浩
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.295-297, 2016

【はじめに】踵骨裂離骨折は稀な骨折である.また,転位した骨片により皮膚壊死を起こすことが報告されている.今回我々は踵骨嘴状骨折の1例を経験したので報告する.【症例】36歳・男性.バック転をした際に左踵部痛が出現し当院へ救急搬送され,単純X線像で左踵骨嘴状骨折を認めた.転位骨片により皮膚は蒼白であり,皮膚壊死を回避するために緊急手術を行った.中空海綿骨裸子3本でのラグスクリュー固定と高強度糸による締結を行った.術後3週尖足位でシーネ固定と免荷を行い,以後はアキレス腱装具装着下に荷重を開始した.皮膚壊死や創感染などの合併症なく経過し,骨癒合が得られた.【考察】踵骨嘴状骨折は稀な骨折で,皮膚壊死を起こす危険性が高く緊急手術を行う必要がある.本症例は緊急手術を行い軟部組織合併症が回避できた.