- 著者
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Akisato KIMURA
- 出版者
- 国立情報学研究所
- 雑誌
- Progress in informatics : PI (ISSN:13498614)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, pp.19-30, 2014-03
ソーシャルネットワークサービス(SNS)で取り扱われるメディアは,従来から存在するマイクロブログ形式のテキストから,画像・映像等のマルチメディアコンテンツを含むものへ遷移し拡大してきている.これらSNS上のコンテンツは,ユーザ間の関係性や位置情報など,コンテンツの内容を知る上で非常に有用な補助情報が多数含まれている一方で,そのコンテンツがあまりにも膨大かつ多様であるため,自動的に解析することが容易ではない.本論文では,上記に示した有用性と問題点とのトレードオフを解決しうる1つの可能性として,ソーシャルキュレーションに着目する.ソーシャルキュレーションとは,SNS上のコンテンツを編集して新たなコンテンツを創る手動作業のことである.すなわち,このキュレーション後のコンテンツは,それ以前のコンテンツよりもはるかに洗練され,有用な情報が凝縮され,内容が絞り込まれている.このことは,コンテンツを解析する上でのコーパスとしての可能性を示すものである.上記の議論を踏まえ,本論文では,ソーシャルキュレーションに関する近年の動向,及びそのクロスメディア解析・マイニングへの利活用について概観する.