著者
Apasheev Alexey
出版者
新潟大学大学院現代社会文化研究科
雑誌
現代社会文化研究 (ISSN:13458485)
巻号頁・発行日
no.39, pp.125-141, 2007-07

企業のマーケティングであれば、「企業の価値の増大」が、商品のマーケティングであれば、「ブランドカの向上」や「売上・利益増」などが目標になる。政党のマーケティングであれば、「政策の現実」や「選挙でひとつでも多くの議席を獲得する」ことが目標になる(Hiroshige Seko)。確かに、日本では、学問的に政治マーケティングの概念がまだ本格的に開発されてはいないが、政治家または政党は実際には、マーケティングのアイディアやテクニックなどをますます利用するようになってきた。ある研究者によると、ほとんどの政治家はマーケティングのテクニックと観念を利用するが、そのことを公共的には認めないだけなのである(G.Mauser)。現代日本の政治家で一番効果的に政治マーケティングを使っていたのは小泉元首相であろう。ただし、それは事前に確定された戦略に基づいていたか否かは疑問である。むしろ、彼は自分の直感による政治マーケティングを展開したのではないだろうか。