著者
勝亦 麻子 Asako KATSUMATA
出版者
淑徳大学短期大学部紀要委員会
雑誌
淑徳大学短期大学部研究紀要 = Shukutoku University Junior College bulletin (ISSN:21887438)
巻号頁・発行日
no.63, pp.77-87, 2021

本研究は、DV被害者の気持ちや生活の変化、被害年数が経過したDVの問題解決の難しさ、および将来加害者に介護が必要になった時の気持ちを明らかにすることによって、長期化したDVの解決方法およびDV被害が高齢期まで継続することを防ぐ方法を探ることを目的とした。調査の方法は、まずDV被害者支援に関する研修会および、被害者向けの心の回復を目指す講座の参加者にアンケート調査を行い、その際インタビュー調査の協力も可能であると記載があり、同意が得られたDV被害者15名に2010年9月から11月にインタビュー調査を行った。その結果、被害が長期化すると、子どもとの関係が悪化したり、加害者への情や家族のしがらみなどが増えて別れにくくなることが明らかになった。また将来の介護問題を避けるために離婚した人がいる一方、加害者が要介護になったらDVの復讐をする可能性も示唆された。DVが長期化した場合の家庭生活の変化や、家族構成員へ及ぼす悪影響等を総合的に、しかもできるだけ早いうちにDV被害者に客観的に把握させて自立を促したり、大事な人間関係のつながりをサポートしたり、喪失感を癒す支援も必要ではないかと考える。