著者
中西 一弘 Kazuhiro NAKANISHI 淑徳大学短期大学部こども学科 Shukutoku University Junior College
出版者
淑徳大学短期大学部紀要委員会
雑誌
淑徳大学短期大学部研究紀要 = Shukutoku University Junior College bulletin (ISSN:21887438)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.165-179, 2015-02-25

「小学校学習指導要領」ではマット運動における「側方倒立回転」の練習方法について,「支持での川跳び」「腕立て横跳び越し」などの運動を「側方倒立回転」へ発展させる予備的な運動として紹介している。これらの運動では,「またぎ越す」ように行うことにより「踏み切り足」と「振り上げ足」の区別が出現してくる。一方,近年「縦向き立ち」からの「片足踏み切りによる倒立」を練習した後で倒立にひねりを加えることにより「側方倒立回転」を習得する練習方法が体操競技関係者から提唱されている。この場合,倒立を練習する時点で「踏み切り足」と「振り上げ足」が決定する。以上のように,それぞれの「側方倒立回転」の練習方法には,「踏み切り足」と「振り上げ足」の決定に影響する異なる要因が存在するものと考えられる。本研究では,この2種類の方法で「側方倒立回転」を練習し,「踏み切り足」「振り上げ足」の決定に関して,練習方法と「側性」との関係性を明らかにした。
著者
勝亦 麻子 Asako KATSUMATA
出版者
淑徳大学短期大学部紀要委員会
雑誌
淑徳大学短期大学部研究紀要 = Shukutoku University Junior College bulletin (ISSN:21887438)
巻号頁・発行日
no.63, pp.77-87, 2021

本研究は、DV被害者の気持ちや生活の変化、被害年数が経過したDVの問題解決の難しさ、および将来加害者に介護が必要になった時の気持ちを明らかにすることによって、長期化したDVの解決方法およびDV被害が高齢期まで継続することを防ぐ方法を探ることを目的とした。調査の方法は、まずDV被害者支援に関する研修会および、被害者向けの心の回復を目指す講座の参加者にアンケート調査を行い、その際インタビュー調査の協力も可能であると記載があり、同意が得られたDV被害者15名に2010年9月から11月にインタビュー調査を行った。その結果、被害が長期化すると、子どもとの関係が悪化したり、加害者への情や家族のしがらみなどが増えて別れにくくなることが明らかになった。また将来の介護問題を避けるために離婚した人がいる一方、加害者が要介護になったらDVの復讐をする可能性も示唆された。DVが長期化した場合の家庭生活の変化や、家族構成員へ及ぼす悪影響等を総合的に、しかもできるだけ早いうちにDV被害者に客観的に把握させて自立を促したり、大事な人間関係のつながりをサポートしたり、喪失感を癒す支援も必要ではないかと考える。
著者
佐藤 純子 Junko SATOH 淑徳大学短期大学部こども学科 Shukutoku University Junior College
出版者
淑徳大学短期大学部紀要委員会
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.63-80, 2015-02-25

ラーニング・ストーリーとは、ニュージーランドの多くの教育や保育現場において用いられている観察記録の一つの方法である。本研究では、C保育園(後に対象児は、P保育園に転園。P保育園においても調査を継続)において、当時4歳児であったリリコの2年間を観察した。具体的には、K保育士にラーニング・ストーリーの手法に基づいた観察記録を蓄積してもらい、定期的に園全体で振り返る機会を設けた。そして、1 その記録をニュージーランドの幼児教育カリキュラムである「テ・ファリキ」と日本の「保育所保育指針」の双方と照合することによって保育士自身の保育観に影響や変化をもたらすのか、2 観察記録で得られた成果を次の日からの保育実践に活かすことにより、子どもの発達に効果が表れるのかを分析した。ラーニング・ストーリーに記されたリリコの活動を「テ・ファリキ」と照合した結果、保育者に対しては、「保育を客観的に観る力」と「子どもの内なる声を聴く力」を養成していたことが明確となった。また、対象児の発達面でも変化が見られ、とりわけ社会性と表現能力の両面が育まれていた。