著者
Asako NOBUOKA
出版者
東洋大学人間科学総合研究所
雑誌
東洋大学人間科学総合研究所紀要 = The Bulletin of the Institute of Human Sciences,Toyo University (ISSN:13492276)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.45-66, 2019-03

よび日本人の表象について、写真と文章の相互作用に注目しつつ分析するものである。『ナショナル――』誌における日本人表象の先行研究としては、ステレオタイプ的な「ゲイシャ」や「サムライ」としての表象に焦点を当て、その歴史的変遷をポストコロニアリズム的観点から分析した例がある。しかし、『ナショナル――』誌の日本表象を創刊時までさかのぼり、太平洋戦争終結前後までの日本に関する表現に見られる傾向や特徴を子細にたどってみると、「ゲイシャ」や「サムライ」という定型化したアイコンはさほど前景化されていないことが分かる。それよりもむしろ、写真表象と文字テキストとの複雑な相互関係を通じて、アメリカの揺るがぬ優位性をほのめかすと同時に、日本の脅威と後進性、そして「謎」の国としてのエキゾチズムを複合的に暗示するような、『ナショナル――』誌独特の表象体系の存在を確認することができるのである。