著者
ROY C. SIDLE (2007) SIDLE Roy C (2006) BRARDINONI F. BRARDINONI Francesco
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究における調査計画は、南アルプスの山地流域(長野県と山梨県)で地すべり堆積物の動態を調べることを目的として立てられた。具体的な研究対象流域は、釜無川・尾白川・大武川・小武川と野呂川である。現在までに、以下の研究段階が実行された。1)6つの年代(1954・1968・1975・1983・1997・2005)の空中写真のセットの判読。2)デジタル空中写真画像を利用した地すべり発生と堆積物層の各点のGIS解析によるマッピング。3)航空写真を元にした見積りの補正因子の存在を調べるための、地すべりの大きさ(長さ、幅、深さ)と堆積物の勾配の現地測定。研究サイトへのフィールド調査は、富士川町と甲府市の砂防事務所の協力で行われた。野外作業には、釜無川・尾白川・大武川・小武川における地すべりイベントの試料を測定することを含んでいる。現在は積雪があるのため、さらなる野外作業は5月中・下旬に野呂川で計画している。予備的な結果では、地すべり活動が高く岩質に依存しているということが明らかとなった。地すべりの起こる頻度は、火砕物層で最も高く、花崗岩層で最も低く、石灰岩と砂岩でその間を示した。さらに、1970年代に行われた広範な森林伐採は、20年間にわたって土砂生産の割合を加速させてきたと考えられる。