著者
Barry C. Russell
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.295-310, 1993-02-15 (Released:2011-02-23)
参考文献数
80

日本および台湾産イトヨリダイ属Nemipterus Swainson (イトヨリダイ科) の分類学的再検討を行った.1新種を含む以ドの9種が認められ, 検索表, 標徴, シノニムを提示した: ヒライトヨリN.aurora [新種, 従来N.delagoae Smithとされていたもの], ソコイトヨリN.bathybius Snyder, モモイトヨリN.furcosus (Valenciennes) [従来, 誤ってN.peronii (Valenciennes) とされていたもの], ニジイトヨリN.hexodon (Quoy et Gaimard), ニホンイトヨリN.japonicus (Bloch), シャムイトヨリN.peronii (Valenciennes) [従来N.tolu (Valenciennes) とされていたもの], トンキンイトヨリN.thosaporni Russell [従来N.marginatus (Valenciennes) とされていたもの], イトヨリダイN.virgatus (Houttuyn), ヒトイトヨリN.zysron (Bleeker) [従来N.metopias (Bleeker) とされていたもの].新種ヒライトヨリはインド洋のN.bipunctatus (Ehrenberg) (N.delagoaeはジュニアシノニム) によく似るが, 背鰭と臀鰭の色模様により容易に識別される.すなわち, ヒライトヨリの背鰭のほぼ中央沿いに1本の幅広い橙黄色帯が走り, 臀鰭のほぼ中央沿いには1本のレモン色のすじが走るのに対し, N.bipunctatusの背鰭は一様なバラ色であり, 臀鰭には2-4本の黄色い波状のすじがある.