著者
宮坂 隆文 Oyunchimeg Mongolkhatan Batsukh Siilegmaa Jamsran Undarmaa
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第130回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.41, 2019-05-27 (Released:2019-05-13)

モンゴルでは、近年の家畜頭数の急増により、草原の劣化が問題となっている。モンゴルにおいて牧畜は、文化・経済両面で重要な産業であり、行政による一方的な規制は現実的でなく、牧民と連携した施策が必要となる。本研究では、今後の対策立案に向け実践的な指針を得るため、モンゴルの国立公園におけるバッファーゾーン管理に着目した。モンゴルの国立公園は、周辺地域をバッファーゾーンと定め、ゾーン内の牧民生計を支援し、適切な草原利用を促しながら、彼らと協力して管理を行うよう法律で定められている。一方で、モンゴル政府の予算・人手不足により、実際はほとんどの国立公園が上記管理を行えていない。その中で、フスタイ国立公園は唯一NGOが管理を担い、長年バッファーゾーン管理にも取り組んでいる。本研究はフスタイ国立公園を対象に、NGOが行政や牧民といかに協力して公園管理を行っているのか、そしてその管理が牧民生計にどのような変化をもたらしているのか、を明らかにすることを目的とした。本発表では、管理を担うNGOの主要スタッフと、周辺牧民121名への聞き取り調査結果をもとに、フスタイ国立公園の協働型自然資源管理の現状と課題を報告する。