著者
Bell Lori J.
出版者
魚雑
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.158-167, 1983
被引用文献数
2

イトビキベラの生殖行動が伊豆諸島の三宅島で1979年7~9月に観察された.ほとんどの雄はなわばり性を示したが, 雌は群れを形成していた.個々の雌は雄のなわばりを移動し, 生殖行動はランダムではないが乱交的であった.三宅島における生殖時期は5~9月と推定された.生殖行動は午後顕著になり, 3段階の産卵前行動, 即ち誇示, 雌への突進, 回転が観察された.産卵はペアで行なわれた.産卵時刻は日没が早くなるにつれて早くなった.産卵時刻と光の強さに関係のあることが示唆された.なわばりを持つterminalphaseの雄による産卵行動の妨害も観察された.In.itial phaseの雄は本研究の個体群の中には見られなかった.雄のなわばり性は産卵にともなうなわばりを防衛する行動に基づいていた.