著者
C P.Scherrer
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、以下の四点に重点的に取り組んだ。ルワンダ、ブルンジにおける過去の大量虐殺と集団暴力、コンゴ民主共和国の集団暴力、少数民族(特に脅威にさらされている少数民族と先住民族の権利)のための国際的な人権保護機構について。1.中央アフリカにおける実地調査は、主要アクターへのインタビューと観察調査により行った。ルワンダには「ガチャチャ(フランス語ではガカカ)」として知られる大量虐殺を裁く法廷がある。この調査では、近代化し、改良されたガカカ法廷の進展に注目した。試験期間を2005年に終了したガカカ法廷は、100万を超える事例を抱え、大量虐殺を裁く世界最大の法廷となった。事例のうち8割はすでに取り上げられている。シェラーは1994〜95年以降、大量虐殺後の裁判に深く関与している。2.破綻国家ブルンジとコンゴ民主共和国での活動-ブルンジ新政府の政策は、国家統一を目標としている。しかし、同国は説明責任を欠き、裁判の開廷にも解放国民軍(FNL)との話合いにも失敗し、その結果として人権侵害が増加した。キヴ州における衝撃的状況のため、コンゴ民主共和国は世界最悪の緊急事態に陥っており、国連組織と国際救済委員会の調査によると、1998年以来、530万人が亡くなっている(現在も紛争と大量虐殺による残虐行為が続いている)。3.人権保護機構に関する活動は、2007年の7月〜8月にかけて、ジュネーブにある国連で継続して行われた。しかし、そこでは、国連人権理事会によって、主要アクターである国連先住民作業部会(WGIP)が、時期尚早の段階で廃止されていた。先住民族の人権保護を目的とした恒久的な機構に関する交渉は、滞っている。WGIPの主な業績である「先住民族の権利に関する国連宣言」の草案は、2007年9月に国連総会によって採択された。