著者
藤田 景子 目黒 あかね 久能 均 Carver T.L.W. Thomas B.
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, 2003-02-25

オオムギ子葉鞘に接触したオオムギうどんこ病菌,コムギうどんこ病菌,エンドウうどんこ病菌分生子の直下に液状物質が(ECM)が出現する.それぞれの胞子(inducer)をオオムギ子葉鞘の1細胞に接種し,1時間以内にinducerを取り除き,細胞をECMに1時間だけ接触させた.別の子葉鞘で培養したオオムギうどんこ病菌(challenger)の発芽胞子1個をその細胞に移植した.19時間培養後,challengerの吸器形成を観察した.ECMと予め接触していない細胞では吸器形成率は約50%であったが,オオムギうどんこ病菌ECMに1時間接触した細胞では約63%に増加した.しかし,非病原菌であるコムギうどんこ病菌,エンドウうどんこ病菌ECMに接触した細胞では,それぞれ約29%,約7%に減少した.これらの結果は,子葉鞘細胞が病原菌,非病原菌のECMを接触後1時間以内に認識すること,challengerが侵入する移植後5,6時間目までに,受容性または拒否性状態に変化することを示している.