著者
藤田 景子
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.198-207, 2014-08-20 (Released:2014-09-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

目的:周産期および育児期を通じたDomestic Violence: DV被害女性のDV被害に対する認識の回復過程を明らかにすることを目的とした.方法:質的記述的研究デザインを用い,21名のDV被害女性に半構成面接を行った.結果:DV被害女性の周産期および育児期を通じたDV被害からの回復過程として,段階1〈家族維持のためにDV被害の認識を意識下におしこめている〉,段階2〈夫への期待が失望に変わりDV被害を認識していく〉,段階3〈アンビバレントな感情を抱えたままDVの関係から抜け出す〉,段階4〈DVの関係から心身ともに出る〉の4つのカテゴリーが抽出され,コアカテゴリーとして《自分らしさを取り戻していくDV被害からの回復過程》が明らかになった.周産期には多くのDV被害女性はDV被害を認識しておらず,気持ちが揺れ動く不安定な状態も存在していた.結論:周産期および育児期は家族を維持させなければならないという思いが強く,夫の態度が変わることを期待しやすいためにDV被害を認識できない構造があると考えられる.看護者がDV被害女性の被害からの回復過程を理解し,その人らしくあることを支援するケアはDV被害からの回復を促すことにつながることが示唆された.
著者
高橋 睦子 小川 富之 メルヴィオ ミカ 立石 直子 片岡 佳美 藤田 景子 渡辺 久子 酒井 道子 平井 正三 中島 幸子 栄田 千春 岡田 仁子 手嶋 昭子 長谷川 京子 吉田 容子 可児 康則
出版者
吉備国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

面会交流に関する取決めや判決は、当事者たちの生活に長期にわたって影響をおよぼす。司法は申立てに対して調停や判決を下すが、その後の親子関係の状況や展開についてのフォローアップの機能は備えていない。子どもの最善の利益を保証するためには、司法のみならず、中長期にわたり子どもの成長・発達を把握し、必要に応じて専門家(臨床心理や児童精神科など)につなぐ社会制度の構築が重要である。幼児も含め子どもの本心に真摯に寄り添いつつ、面会交流について適切に判断し当事者らが必要とする支援を行うためには、乳幼児や子どもの発達に関する最先端の知見や情報を専門領域の境界を超えて共有することが重要である。
著者
藤田 景子 目黒 あかね 久能 均 Carver T.L.W. Thomas B.
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, 2003-02-25

オオムギ子葉鞘に接触したオオムギうどんこ病菌,コムギうどんこ病菌,エンドウうどんこ病菌分生子の直下に液状物質が(ECM)が出現する.それぞれの胞子(inducer)をオオムギ子葉鞘の1細胞に接種し,1時間以内にinducerを取り除き,細胞をECMに1時間だけ接触させた.別の子葉鞘で培養したオオムギうどんこ病菌(challenger)の発芽胞子1個をその細胞に移植した.19時間培養後,challengerの吸器形成を観察した.ECMと予め接触していない細胞では吸器形成率は約50%であったが,オオムギうどんこ病菌ECMに1時間接触した細胞では約63%に増加した.しかし,非病原菌であるコムギうどんこ病菌,エンドウうどんこ病菌ECMに接触した細胞では,それぞれ約29%,約7%に減少した.これらの結果は,子葉鞘細胞が病原菌,非病原菌のECMを接触後1時間以内に認識すること,challengerが侵入する移植後5,6時間目までに,受容性または拒否性状態に変化することを示している.
著者
井上 正允 西 晃央 藤田 景子
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

中学入学後に急増する「数学嫌い」。この原因は、学習量の増加や学習内容が難しくなったことだけでは説明ができない。本研究では酒井朗等の「学校適応」研究が指摘した「中1から中2にかけて起こる『学校不適応』」に着目し、公立の小中一貫校と附属の小学校・中学校の小中連携研究にコミットし、算数・数学における「中1ギャップ」の表れ方について分析を試みた。数学の授業でも中1から中2にかけて「考えようとしない」「正解が出ればそれでいい」「結果がよければそれでいい」とする生徒が増えることをつきとめた。この背景には中学校の数学の授業があり、中学校の授業改革が求められる。