著者
DAVID Askew
出版者
立命館アジア太平洋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

本年度は、研究代表者の所属研究機関が、代表者の海外出張をなかなか許可しようとしないという問題が勃発し、海外における文献蒐集などを必要とする学術研究を行うには大変厳しい環境になってきた。とはいうものの、日本国内でできることを中心にして、研究はそれなりにはかどることができた。本研究プロジェクト「探偵物語・人類学・捜査科学--『法と文学』の接点に関する一考察」において、本年度は、前年度の研究成果を踏まえつつ、それに一層磨きをかけることを第一の目的としてきた。前年度中に得た結論を論文として形にし、残る課題の解明に努めつつ、新たに出てきた文献や、残る課題の解明に役立つと思われる文献の収集・解読に努めてきた。とりわけロンブローゾの学説を中心に犯罪人類学を検証して、またシャーロック・ホームズに焦点を絞って、コナン・ドイルの小説が、指紋という一科学捜査技法の正当化に果たした役割を検討することをしてきたので、この研究をさらに磨くよう心がけた。第二は、研究成果そのもの、または今後の課題を明らかにしていくことを目指して、二つの研究論文の執筆に専念してきた。一つは、犯罪人類学の小説化の理論的再構成を論証するものであり、二つは、これまでの英米圏の研究成果を踏まえつつ、小説という言説空間における犯罪捜査技法の正当化について考察を加え、研究成果を公にするものである。査読にはそれなりの時間は必要であるが、いずれは出版される運びとなろう。
著者
PAUL Close DAVID Askew
出版者
立命館アジア太平洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本年度は、本研究プロジェクト「アジア太平洋の国際政治経済学と人権」の最終年度に当たる。今までの研究を包括する形で、単著『Asia Pacific and Human Rights : A Global Political Economy Perspective』をイギリスの名門出版社Ashgateから出版した。本書では、国際政治経済学という視点に立って、アジア太平洋地域における人権というテーマを検証した。本書同様、本研究プロジェクトでは、グローバルな文脈において、国際経済政治学の方法論・洞察に依拠しつつ、アジア太平洋地域における人権の展開を、個々の具体的なケーススタディを通じて、また普遍主義的な思想史的な視点から、論議してきた。その際、グローバルな文脈では特に政治的・経済的・文化的な過程としてのグローバリゼーション、また人権をめぐる言説における政治的配慮・政治的力学の存在に注目してきた。グローバリゼーション(特に文化的過程としてのグローバリゼーション)と国際政治経済学というテーマについては、上記の著書に加えて、『Football Goes East : Culture and Business of the Global Game in China, Japan and Korea』という共著も出版した。これらの具体的研究成果に加えて、2004年度には、他に、4本の研究論文、2冊の共著を公にしている。