著者
出口 善隆 DEGUCHI Yoshitaka
出版者
財団法人さんりく基金
雑誌
三陸総合研究
巻号頁・発行日
no.24, pp.31-36, 2004-01-30

日本短角牛放牧によるシバ型草地植生修復の可能性を検討するため、安家森放牧共用林野に放牧された日本短角牛4頭を5時から17時まで追跡し、行動を1分毎に記録した。摂食行動の場合は摂食した植物も記録した。調査は放牧初期(入牧~7月)、放牧中期(8月)、放牧後期(9月~終牧)の3回行った。その結果、パドックでは主に休息や反芻を行い、草地では主にグラミノイドの摂食を行っていた。放牧中期のカバノキ類の摂食は主にパドックで行われていた。またシバ型草地の枯死部の除去による富栄養化の防止および広葉草本の侵入の防止効果があると考えられた。シバ型草地が比較的のこされている草地の植生を維持することへの、日本短角牛による摂食の関与が示唆された。