著者
渡邊 康子 薗田 徹太郎 菊地 香織 一ノ瀬 充行
出版者
財団法人さんりく基金
雑誌
三陸総合研究
巻号頁・発行日
no.24, pp.1-11, 2004-01-30

琥珀入り御香が生体にどのような生理的効果を及ぼすかを、脳波をその指標として検討した。被験者には、一定の安静状態の後に琥珀入り御香の香りを嗅いでもらい、その際に認められる脳波の変化を記録・解析した。その結果、頭頂・後頭領域において脳波が覚醒を示す高周波帯域へシフトしていることから、御香の香り刺激により覚醒状態へ移行したと考えられる。さらに、御香を燻らせている間よりも煙が止んだ後からα波レベルが上昇していた。したがって、御香の香りが薄らいでからの神経活動レベルの安定状態(リラックス)は、御香の成分を吸引することによる事後効果(after effect)と考えられた。以上のことから、琥珀入り御香には、香中のリフレッシュ効果ならびにその後のリラックス効果があることが示唆された。琥珀の持つこのような生体への効能を、新たな製品開発に活かしていくことは、三陸地域の振興に大きく貢献すると考えられる。
著者
出口 善隆 DEGUCHI Yoshitaka
出版者
財団法人さんりく基金
雑誌
三陸総合研究
巻号頁・発行日
no.24, pp.31-36, 2004-01-30

日本短角牛放牧によるシバ型草地植生修復の可能性を検討するため、安家森放牧共用林野に放牧された日本短角牛4頭を5時から17時まで追跡し、行動を1分毎に記録した。摂食行動の場合は摂食した植物も記録した。調査は放牧初期(入牧~7月)、放牧中期(8月)、放牧後期(9月~終牧)の3回行った。その結果、パドックでは主に休息や反芻を行い、草地では主にグラミノイドの摂食を行っていた。放牧中期のカバノキ類の摂食は主にパドックで行われていた。またシバ型草地の枯死部の除去による富栄養化の防止および広葉草本の侵入の防止効果があると考えられた。シバ型草地が比較的のこされている草地の植生を維持することへの、日本短角牛による摂食の関与が示唆された。