著者
David Burger
雑誌
聖学院大学論叢 = The Journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.第29巻, no.第1号, pp.71-87, 2016-10

近代言語学はノーム・チョムスキーの唯心論や合理主義という哲学的伝統に沿った言語理論の強い影響を受けている。つまり,言語は生物的資質であり,普遍文法の産物で心の所有物として本質的には思考のためのものである。一方,唯物論や経験主義見解では言語は社会現象で主にコミュニケーションのためのものである。近年は言語機能の進化という問題が多くの注目を集めてきた。チョムスキーの見解では,言語機能は最近の進化的発生で,小さな突然変異の結果として出現したと言われている。唯物論や経験主義見解では,言語機能は文化の産物として,またコミュニケーションをより効果的にするために自然淘汰によって徐々に進化してきた。