著者
Dolinsek Saso ドリンシェク サショ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.41, pp.111-127, 2020-03-31

人間学・人類学 : 論文本論文では、明治時代に活躍した記者・革命家である管野須賀子の思想および〝生き方〟における無政府主義の位置と重要性に関して論じる。須賀子の思想形成をフェミニズム・社会主義・無政府主義の三つのイデオロギーを参照軸として分析する。須賀子におけるこれらイデオロギーの関係を検討する中で、須賀子の受けた性差別に起因する問題は、社会主義によっては解決不可能であったことを示す。そのことにより、国家の廃絶を唱える狭義の無政府主義に留まらず、何にも誰にも支配されない自由な〝生き方〟としての無政府主義/アナーキズムに解決が求められる必然性を示す。須賀子の〝生き方〟と、広義のアナーキズムとが響きあう通底を探る。