著者
野口 栄子 EIKO NOGUCHI
出版者
京都府立大学学術布告委員会
雑誌
京都府立大学学術報告 理学・生活科学・福祉学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
no.19, pp.77-81, 1968-10

福祉は現代においてもつとも人間性と密接な関連を有する観念といえるがそれは必ずしも明確な規定をもつていない。ここでは福祉を人間の主体性との関係において把握しようとする。自発的個性的な主体は, 現代においては実存的な相互連帯性の観点から受けとりなおされ, 再構成されなければならない。そのさい実存哲学がめさしている個人から社会への考方をとりいれつつ新しい見方が成立することが要請される。それは各主体が同一次元にあり, 共通の基盤から相補うもので, そこに福祉的人間の根拠があると考えられる。