著者
野口 榮子
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.1-11, 1989-03-31 (Released:2017-05-22)

Diderot, auteur de critique d'art dans "les Salons 1759-1781", a elabore diverses theories a propos de l'art. Nous allons nous pencher ici sur ses jujements sur le portrait. Diderot, l'un des rares critiques a mentionner le portrait de feu Madame Infante en habit de chasse de Natier au Salon de 1761, critique severement des hommes de la Cour. Pour lui, ce ne sont que des <faux> ; c'est la <verite> que l'on doit chercher dans le peinture. A propos du portrait de M. Thomas de Duplessis au Salon de 1781, Diderot dit que l'artiste doit tenter de saisir la physionomie de l'homme, de lui donner une expression, et ainsi de rechercher la <ressemblance>. Ce qui n'est pas ressemblant n'est pas <verite>.
著者
吉岡 健二郎 太田 孝彦 太田 喬夫 佐々木 丞平 野口 榮子 山岡 泰造
出版者
京都大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1985

美的価値と芸術的価値の問題は美学及び芸術史研究にとってその中心をなすというべき重要な問題である。研究代表者の吉岡は60年度に美術史研究が独立した学問として成立するに至る過程をたどり、それが18世紀の西欧世界においてであること、そしてまた美術史学の成立と美学の成立とは互いに支えあって初めて可能であったことを明らかにした。(京都大学文学部美学美術史学研究紀要第7号)吉岡の研究は各研究分担者の個別的で緻密な研究に支えられ、そこから大きな示唆と教示を得て執筆されたのであるが、同時に問題の難しさを一層鮮明なものにする結果ともなった。即ち美の問題と美術の問題との、近代世界における新たなる関係如何という、美学にとってのより根底的な問いが避けられなくなってきたのである。美学が美と芸術の本質を探求する学として成立したのは18世紀半ばであるが、美と芸術が一つの学の中で、まとめて扱われたのは、芸術が美的価値の実現を目標とする人間活動と見倣されたからに他ならない。ところが、人間活動の一形態としての芸術は必ずしも美的価値を目標とするものではないのではないかという疑問や、西洋以外の諸文化圏の芸術は少くとも西洋の伝統的美概念には包摂できないという明白な事実が、研究者の意識に上ってくるようになると、美的価値と芸術的価値とは分離されざるをえなくなる。東洋・日本の美術の研究者は、中国や日本の美術の目差すところが、いわゆる西洋世界で確立された美的諸範疇といったものでは充分に説明できないこと、それにも拘らず人間の表現活動としては西欧の認識の心を深く感動させるものを有していること、従って美的価値概念と芸術的それとの再検討が地球的規模で行なわれなければならないこと、そして美的価値と芸術的価値との価値論的な新しい統一の試みが必要であるという点を明らかにしてきたのである。