著者
イシカワ エウニセ アケミ イシカワ エウニセ アケミ Eunice Akemi ISHIKAWA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-8, 2015-03-31

日本とブラジル間の国際移動は1908年に始まり、現在ではブラジルにて世界最大の日系人社会が築かれている。その一方で、1980年代からブラジルの経済危機から逃れるため、多くの日系人は人手不足で悩んでいた日本へ移動するようになった。当初は大人の移動が多かったが、現在では家族形態の移動が多く、日本で育った子どもが増加している。現在(2012)、在日ブラジル国籍者は19万人であり、そのうち17%は15歳以下である。その多くは日本で初等教育を受けたか現在受けている現状であると言える。親の労働・生活の状況の不安定さにより、この子どもたちが抱える問題は、家庭内から始まり、教育現場である学校、そして地域社会にまでいたるのである。しかし、このような状況の中でも、日本で育ったブラジル人の子どもが徐々に日本の大学に進学し、日本人と同じ入学試験を受けて合格している事例が増加している。本稿では、在日ブラジル人の第二世代を対象に行った調査をもとに日本の大学に入学した彼・彼女らの現状を紹介する。