著者
深津 周太 FUKATSU Syuta
出版者
名古屋大学大学院文学研究科
雑誌
名古屋大学人文科学研究 (ISSN:09109803)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.33-46, 2009-02 (Released:2018-02-21)

17世紀書写の大蔵流虎明本に存在する「ナ」の1例について、従来の見解ではこれを呼びかけの感動詞と解釈するのが一般である。ただし、同時期の他の文献を合わせても類例を見出せないことなど未詳な部分も存在し、あくまで消極的な認定が行われているにすぎない。本稿では他の呼びかけ感動詞の使用実態と照らし合わせながら、当該の「ナ」がそれらとどのような関係にあるかを実証的に提示し、呼びかけ感動詞としての解釈が困難であることを主張する。さらに統語的な条件を根拠に、間投助詞や終助詞、禁止の意味をあらわす副詞としての可能性を否定する。それを踏まえて、この「ナ」はその出現位置(文頭)からして感動詞とみなさざるを得ないが、それは積極的に他者への呼びかけの意味を持つものではないと結論づける。