著者
Grecko Valerij
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ロシア・アヴァンギャルドの特徴のひとつは、芸術実践が科学理論と密接に関連していることである。具体的なモチーフのレベルでは、共産主義社会における「新しい人間」の創造が特に重要なものとして科学と芸術に共通して現れる。生理学・遺伝学その他の分野における科学の発展によって、アヴァンギャルド芸術においてもこのモチーフに対する関心が高まった。イデオロギーと世界観のレベルでは、ユートピア思想が科学と芸術の双方に見られる。記号論を援用してメタ・レベルで考察した場合、芸術と科学は世界を認識する方法として相互補完的であり、一方の言語/概念を他方の言語/概念に「翻訳」することが非常に生産的な成果を生むことがわかる。