著者
狭間 諒多朗 Hazama Ryotaro ハザマ リョウタロウ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.34, pp.1-22, 2013

本稿の目的は地域における文化活動の担い手を探ることである。かつての行政主導であった地域文化の時代は住民主導の新たな地域文化の時代へと変貌を遂げた。この新たな地域文化の時代において、地域文化活動は地域活性化の切り札として期待されている。地域文化活動の担い手を把握することはひいてはその活性化につながると考えられる。これまでの研究から、I ターンやU ターンと呼ばれる地域移動を行った人々やパーソナルネットワークサイズの大きい人が地域文化活動の担い手であるという仮説を立て、分析を行った。その結果、I ターン者が興味を持って活動に参加し、また参加頻度が高く、活動での役割も重要であるという傾向がみられた。U ターン者が活動に参加しているという結果はあまりみられなかったが、U ターン者かつ居住年数の長い人が活動を立ち上げるというI ターン者とは違った傾向がみられた。パーソナルネットワークについては多くの結果がみられ、パーソナルネットワークサイズの大きい人ほど積極的に地域文化活動の担い手となっていることがわかった。