著者
鯉渕 道紘 松谷 宏紀 天野 英晴 D.FrankHsu Henri Casanova
雑誌
ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.85-92, 2012-01-17

メニーコア並列アプリケーションと高性能計算機の大規模化が進むにつれて性能への通信遅延の影響が大きくなってきている.そのため,高性能計算システムでは高次元スイッチを用いた低遅延トポロジの活用が重要となりつつある.そこで,本研究では,典型的なトポロジにランダムなショートカットリンクを加えたトポロジを探求する.N 台の次数kのスイッチで構成されたトポロジにおいてランダムなショートカットリンクは,直径を理想値である logk N に近づけ,平均距離,トポロジの拡張性,耐故障性をスモールワールド効果により改善する.グラフ解析の結果より,ランダムなショートカットリンクは,規則的にショートカットリンクを付加した場合と比べて,直径と平均距離を最大 8 倍改良することが分かった.また,フリットレベルシミュレーションの結果より,ランダムなショートカットリンクは遅延を 35% 削減し,ハイパーキューブなどの同じ次数を持つ規則的なトポロジと同程度のスループットを達成した.