著者
岡崎 真博 森島 信 松谷 宏紀
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.89-90, 2019-02-28

近年、GPUなどのハードウェアを用いた処理の高速化、省電力化などが研究されている。また、扱われるデータ量が増え続けることが予想され、高速化、省電力化の需要はますます高まっている。本論文では複数のGPU(Graphics Processing Unit)をネットワーク経由で用いて、演算の高速化を行い、評価を行う。通常GPUは、マシンのPCIeに直接接続して使用することが多いが、大量のGPUを同時に使用する際や、複数のマシンで単一のGPUを使用する際にはネットワーク経由で使用する必要がある。本論文ではクライアントサーバモデルによる接続手法とPCIe over 10GbEによる接続手法の2つを使用し、特徴に合わせて割り当てを行う。
著者
松谷 宏紀
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.29, pp.1-6, 2013-03-06

本論文では、サービス指向ルータにおける問合せ処理高速化のためにハードウェアによるSQLキャッシュを検討する。まず、プロセッサ単体の問合せ処理性能を見積もり、次に、ハードウェアによるSQLキャッシュのための設計方針を決め、問合せの多様性とカテゴリ分けを行う。これらの議論を踏まえ、ハードウェアによるSQLキャッシュとして、集合関数の結果をキャッシュする結果キャッシュ、及び、直近1時間の全レコードを保持するバッファキャッシュを設計し、待ち行列理論を用いて性能向上率を見積もる。最後に、ハードウェア量の考察を行い、また、C言語で実装したSQLキャッシュシミュレータを用いて提案機構の有用性を確認する。
著者
森島 信 松谷 宏紀
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2018-ARC-231, no.22, pp.1-6, 2018-06-07

ブロックチェーンは,暗号通貨ビットコインで提案された P2P ネットワークで構成される分散型台帳システムであり,国際送金,個人間取引,資産の保全等幅広い用途に用いられている.ブロックチェーンでは,仮に取引の作成者であっても変更や削除ができないという性質によって改竄耐性が高められているが,この性質は,誤取引や秘密鍵の盗難などによって作成された不正取引を後から修正出来ないという問題点にもなる.この問題点により,一度盗難等の不正取引が発生した場合,その被害が拡大しやすく,承認前に取引を修正する等の対策を取り,被害を抑える必要がある.そのためには,高速に不正取引を検知する必要がある.しかし,ブロックチェーンにおいて異常を検知するためには様々な特徴量を用いて検知を繰り返す必要があるため,特徴量抽出がオーバーヘッドとなり,高速な異常検知が困難である.そこで,本論文では,並列計算性能に優れる GPU を用いて特徴量の抽出に必要な取引情報をキャッシュし,GPU 内で特徴量抽出と異常検知双方を行うことで,様々な特徴量を用いる異常検知を高速化することを提案する.提案手法により,計算量の大きい条件付きの特徴による Krneans 法を用いた異常検知で,利用者数 100 万,取引数 1 億の時に CPU 処理の 37.1 倍,異常検知のみを GPU で行う手法の 16.1 倍の高速化を実現した.
著者
森島 信 松谷 宏紀
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.12, pp.949-963, 2017-12-01

ドキュメント指向型データベースは,ユーザがスキーマレスにドキュメントを保存し,それに対する探索クエリを実行できるデータベースである.その利用用途として,高い拡張性や豊富な機能が要求されるウェブアプリケーションやオンラインゲームが挙げられる.ドキュメント指向型データベースの主な機能の一つは,ドキュメントに対する文字列探索であり,その計算量はドキュメント数に比例して増加するため,多くのドキュメントを扱う場合,計算量が非常に大きくなる.この計算量を削減するため,ドキュメント指向型データベースでは,データベースインデックスが使われている.しかし,インデックスは全てのクエリに適用できるわけではなく,例えば,正規表現探索等のクエリに適用するのは困難である.これらのインデックスを適用できないクエリをGPUを用いて高速化するために,本論文では,DDBキャッシュ(Document-oriented DataBaseキャッシュ)というGPUでの文字列探索処理に適した構造のキャッシュを提案する.GPUとDDBキャッシュを用いることで,ドキュメント指向型データベースの文字列探索処理をインデックスを使わずに高速化できる.更に,ハッシュ機構を用いてDDBキャッシュを分割し,複数台のGPUに分散する手法を提案し,GPUを用いた手法の水平拡張も可能にする.評価では,代表的なドキュメント指向型データベースであるMongoDBを対象にDDBキャッシュを実装し,性能を評価した.その結果,インデックスの適用できない正規表現探索クエリにおいて,GPUを用いた提案手法はMongoDBを大幅に上回るスループットを達成した.また,GPUの数を1台から3台に増やしたことで,2.7倍のスループットの向上を達成し,GPU数を増やすことで水平拡張ができることを示した.
著者
鯉渕 道紘 松谷 宏紀 天野 英晴 D.FrankHsu Henri Casanova
雑誌
ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.85-92, 2012-01-17

メニーコア並列アプリケーションと高性能計算機の大規模化が進むにつれて性能への通信遅延の影響が大きくなってきている.そのため,高性能計算システムでは高次元スイッチを用いた低遅延トポロジの活用が重要となりつつある.そこで,本研究では,典型的なトポロジにランダムなショートカットリンクを加えたトポロジを探求する.N 台の次数kのスイッチで構成されたトポロジにおいてランダムなショートカットリンクは,直径を理想値である logk N に近づけ,平均距離,トポロジの拡張性,耐故障性をスモールワールド効果により改善する.グラフ解析の結果より,ランダムなショートカットリンクは,規則的にショートカットリンクを付加した場合と比べて,直径と平均距離を最大 8 倍改良することが分かった.また,フリットレベルシミュレーションの結果より,ランダムなショートカットリンクは遅延を 35% 削減し,ハイパーキューブなどの同じ次数を持つ規則的なトポロジと同程度のスループットを達成した.
著者
佐々木 大輔 松谷 宏紀 竹 康宏 小野 友己 西山 幸徳 黒田 忠広 天野 英晴
雑誌
先進的計算基盤システムシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.399-406, 2011-05-18

誘導結合によるチップ間ワイヤレス接続技術は,製造後にチップを重ねて実装することで,三次元積層が可能であり,その高い柔軟性と転送性能が注目されている.この三次元転送技術を有効に利用するためには,積層されたチップのコア間で容易にデータを転送を行う方式を確立する必要がある.本論文では,ワイヤレス誘導結合を用いてチップ間でコミュニケーションを行う手法として,垂直バブルフローを利用したリング型 NoC を提案し,仮想チャネルを用いたリング型 NoC,および,垂直バス方式と比較する.さらに,これらの通信方式を搭載したプロトタイプチップを実装し,それぞれの手法による性能,および,面積の違いを測定する.シミュレーションによる評価の結果,プロトタイプチップは 200MHz で動作し,誘導結合部分は 4GHz 超のクロック伝送によるダブルデータレート伝送を実現,平均消費電力は最大は 33.8mW となった.垂直バブルフローおよび仮想チャネルを用いたリング型 NoC は,垂直バス方式と比べ高いスループット性能を実現した.さらに,垂直バブルフローは既存の仮想チャネルを用いる方式よりも面積性能比で優れることが分かった.