著者
平田 幹夫 Hirata Mikio
出版者
琉球大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
琉球大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466038)
巻号頁・発行日
no.13, pp.11-24, 2006

本事例では、不登校に陥った小3児童(以後K子)の教室に掲示されていた「母の日の画」から心理アセスメントを行い、それをもとに母子カウンセリングを2回行った。面接においては、「動的家族画」、「動的学校画」、「家族が立っている画」「自由画」の描画テストを実施した。描画を解釈しK子の情動を母親に伝えたことによって、母親のK子への関わりに大きな変化が現れた。その結果、初回面接の翌日から学校復帰を果たした。また、K子の問題を契機に家族システムにも変化が見られた。その後、4年生から6年生にかけて年に1回の割合で描画テストを行いフオローアップを行った。K子は3年生の面接以降、6年生になるまで不登校になることはなかった。実施した描画テストを縦断的に分析した結果、家族システムの良好な変化が描画の変化として表出していることが明らかになった。本事例を通して、描画テストは子どもの内面世界を表出すると同時に、その活用は、カウンセリングにおいて臨床的に有効であると思われた。
著者
平田 幹夫 Hirata Mikio
出版者
琉球大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
琉球大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466038)
巻号頁・発行日
no.12, pp.15-26, 2005

本研究は、幼稚園から絵と作文を一度もかいたことがない小3男児に対して、Coと担任が連携しシングルセッションでカウンセリングを行った事例の経過報告と考察を目的としている。担任とシングル・セッション・カウンセリングの介入シナリオの検討を行い、以下のようなカウンセリングを行った。1.給食の様子を写真撮影に来た大学の先生という場面を設定を行った。2.笑顔で語りかけ、笑いを共有した。3.他の子どもより優れているところをみんなの前で誉めた。4.学級の仲間をカウンセリングの援助者に位置づけた。5.描画場面においては、描画に対する自己効力感を高めるために「他の人よりも感じる力があり、それを表現するすごい能力を持っている」と何度も伝えることを行った。その結果、絵を描けるようになり、短文ではあるが作文も書けるようになった。また、小3男児の描画について考察を行った。