著者
生田 和良 IBRAHIM Madiha Salah
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

エジプトにおける鳥インフルエンザウイルス(H5N1)のアウトブレイク発生は他の国に比べ遅かったが、他の国の発生頻度が低下する中で、今も多くのアウトブレイクが続いている。しかし、エジプトにおけるH5N1の情報は極めて少ない。本年度は、エジプトの家禽類(ニワトリとアヒル)からのサンプル(呼吸器系、腸管系、中枢神経系)を入手し、それぞれからウイルスを分離した。これまでに、ニワトリ由来株A/chiken/Egypt/CL6/07とアヒル由来株A/duck/Egypt/D2br10/07の高病原性を確認し、ウイルス遺伝子配列を決定した。これまでに報告されているエジプト株clade 2.2のものと比較して、両ウイルスはM以外の遺伝子にアミノ酸置換が認められ、この置換はニワトリとアヒル由来株間で異なっていた。系統樹解析においても両株は異なるクラスターに位置していたことから、エジプトのH5N1はニワトリとアヒルでそれぞれ独立して進化していると考えられた。