著者
当舎 万寿夫 Ichimura I.
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.18-29, 1961
被引用文献数
4

Radarによる雲のecho観測で,そのtop高度による驟雨と雷雨の判定法がのべられている。このために,RHIによるecho観測が用いられ, echo top の高度比較をなすのにビーム幅による補正,電波屈折率や地球の曲率に関する補正,radar反射率に関する補正を行つた。館野におけるradio sondeの dataより echo top の温度がきめられ,雲の過冷却部における厚さと零度層高度との関係が掛された。驟雨と雷雨についての累積頻度曲線をつくつてみると,echo topの温度でcritical vaiue として-15.6°Cをえた。これは雲頂が一15.6°C層以上に成長すれば90%の出現率で雷雨になる。この層に達しない雲頂は90%で験雨になる。この高さは7.5kmから 8.2kmの問にある。<BR>雷雨における上昇気流の速さが水滴の凍結過程によつて計算され,凍結開始高度からの雲頂高度より求めた。この結果,平均して,雷雲内の上昇気流はかなりの速さになつている。-15.6°C層の面において,上昇気流の速さが水滴の半径に関係する Critical value以上になれば,その地域に雷雨の発生する必要条件を求めうる。