著者
当舎 万寿夫
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.239-244, 1962

大阪管区気象台のレーダによつて得られたエコー高度の観測データに基づいて我が国の驟雨と雷雨の判定基準が出されている。大阪のレーダは気象研究所のものと性能が大体似ているので,先に筆者と市村の求めたレーダ因子がそのまま使える。これによつて補正を行い,雷雨と驟雨に分けた。高層気象観測のデータは潮岬のものを用い,レーダエコーの高度とその高度に対応すを気温を求めた。<BR>得られたレーダ観測資料をすべて適用すると臨界値として-9.8℃ の温度値がえられた。<BR>不連続面の存在している場合を除外して,同一気塊内における雷雨や驟雨のものに限定すれば,臨界値は-15.0℃になつた。<BR>この値は気象研究所のレーダにて求めた同一気象条件のもの(-15.6℃)に近い。よつて,我が国の雷雨判定規準として,雲頂高度が-15℃~-16℃の等温層を越えるものにとりうる。<BR>不連続線によつて発生する雷雨では規準高度が低い,雲頂高度が低い所でも雷の発生を認めることになる。これは不連続面の場合,大きな乱れ作用によつて帯電現象が早く起ることになる。
著者
当舎 万寿夫 Ichimura I.
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.18-29, 1961
被引用文献数
4

Radarによる雲のecho観測で,そのtop高度による驟雨と雷雨の判定法がのべられている。このために,RHIによるecho観測が用いられ, echo top の高度比較をなすのにビーム幅による補正,電波屈折率や地球の曲率に関する補正,radar反射率に関する補正を行つた。館野におけるradio sondeの dataより echo top の温度がきめられ,雲の過冷却部における厚さと零度層高度との関係が掛された。驟雨と雷雨についての累積頻度曲線をつくつてみると,echo topの温度でcritical vaiue として-15.6°Cをえた。これは雲頂が一15.6°C層以上に成長すれば90%の出現率で雷雨になる。この層に達しない雲頂は90%で験雨になる。この高さは7.5kmから 8.2kmの問にある。<BR>雷雨における上昇気流の速さが水滴の凍結過程によつて計算され,凍結開始高度からの雲頂高度より求めた。この結果,平均して,雷雲内の上昇気流はかなりの速さになつている。-15.6°C層の面において,上昇気流の速さが水滴の半径に関係する Critical value以上になれば,その地域に雷雨の発生する必要条件を求めうる。