著者
岩田 美保 イワタ ミホ Iwata Miho
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.43-45, 2011-03

本研究は,3人きょうだいを含む一家族の夕食時の縦断的な会話データから,きょうだい3人(S(小5)・M(小4)・Y(小1))が学童期にあたる時期の,平日を中心とする母子4者間および休日を中心とする父母子5者間の夕食時においてどのような他者が話題に挙げられるのかについて検討した。母子4者間,父母子5者間に共通し,「友人」に関する言及が突出して多くみられ,また,「友人のきょうだい」に関してもよく言及されていた。一方,父母子5者間に特徴的な他者についての言及として,「社会的な人物(政治家など)」,「スポーツ選手・芸能人」,「TVアニメのキャラクター」,母子4者間に特徴的な言及として,「園の教師」「園の友人」が挙げられ,食事のメンバーが異なることで,他者についての言及や話題に違いが生まれることが示唆された。それら他者の話題の多様性は他者理解を支えるものとしての家族の会話として重要であると考えられた。