著者
林 直也 原田 宗彦 Jo Lee Tea Chon Tae Jun Won Lee Chul
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-13, 2004-03-31

本研究の目的は「みる」スポーツが「する」スポーツに及ぼす影響を,W杯の観戦という視点から考察すること,そして,その影響の違いを日本と韓国で比較検討することである.調査対象はW杯を観戦した中学生である.本研究は行動に対する態度と意図に着目した.これらの概念は人々の行動を予測する際に重要だとされている.そのため,W杯後の態度、意図の変化を明らかにすると同時に,日本と韓国での変化の違いを明らかにした.分析の結果,W杯を観戦した中学生のサッカー行動に対する態度,意図は有意に向上したことが明らかになった.そして,その変化は韓国の方が日本よりも大きかった.次に,W杯前にサッカーを実施していなかった生徒を村象に分析を行った.結果,両国ともにサッカー行動に対する態度,意図が有意に向上していた.これらのことから,W杯の観戦はW杯前にサッカーを実施していなかった生徒にも影響を及ぼしたことが明らかになった.これらの結果から,W杯の観戦は日本と韓国における中学生のサッカー行動に影響を及ぼし,特に,韓国において影響が強いことが明らかになった.これら結果は「みる」スポーツは「する」スポーツに影響を及ぼすことを示唆している.